
「もう寿命です」「修理が必要です」
その言葉、本当に正しいのでしょうか?
最近、お客様からこのようなご相談をいただくことが増えています。
「高額な修理が必要と言われた」
「オーバーホールしないと弾けないと言われた」
「もう古いから買い替えた方がいいと言われた」
ですが、実際に拝見すると、そこまでの修理が必要ないケースが少なくありません。
もちろん、本当に修理が必要なピアノもあります。
しかし、“調整”によって改善できる状態なのに、高額修理や買い替えを勧められているケースが多いことも事実です。
今回は、実際にあったお客様のお話を紹介させていただきます。
「かなり状態が悪く修理が必要」と言われたピアノ
東京から神戸へアップライトピアノを移動されたお客様。
輸送業者から紹介された調律師が訪問し、
「かなり状態が悪い」
「ハンマーがぐらついている」
「鍵盤が下がらない」
「修理が必要」
と言われたそうです。
さらに、
「本来ならもっと高額だけど、今回は8万円でできる」
「アクションを持ち帰って修理する」
という流れになり、不安なまま依頼してしまったとのことでした。
ですが、その後お客様が不審に思いキャンセル。
改めて私がお伺いし拝見したところ、結果として全く修理は必要ありませんでした。
必要だったのは、ピアノ本来の状態を取り戻すための丁寧な“調整”です。
実際にいただいたお声です。
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『知らないということは危険だと思いました。
正しい知識が浸透することを願っております。』
私はこの言葉が、とても印象に残っています。
「こんなものです」と言われて諦めてしまう人
こちらのお客様は、中古ピアノ購入後、
・鍵盤の跳ね返り音
・ピアニシモが出ない
・弾きにくさ
に悩まれていました。
購入先に相談しても、
「そんな事例は聞いたことがない」
と言われたそうです。
ですが、実際には丁寧な“調整”によって改善しました。
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ピアノは、ただ音の高さを合わせるだけではありません。
・鍵盤の深さ
・ハンマーの動き
・打弦のタイミング
・音色
・タッチ感
こうした要素を細かく整えることで、驚くほど弾きやすく変わります。
「寿命です」と言われたピアノ
中には、
「もう寿命」
「買い替えた方がいい」
と言われたピアノが、調整によって蘇るケースもあります。
実際に、
『買った時より素晴らしいピアノになった』
とおっしゃっていただいたこともあります。
もちろん、全てのピアノが直るわけではありません。
しかし、“直せる可能性”を見ずに、すぐ買い替えやオーバーホールへ進めてしまうことには、私は強い疑問を感じています。
なぜこういうことが起きるのか
理由は様々です。
・調整より修理の方が高額になりやすい
・楽器店への買い替え紹介で利益が発生する場合がある
・整調や整音まで深く対応できない
・時間をかけた細かな作業が難しい
もちろん、誠実な調律師さんもたくさんいます。
だから私は、「調律師という仕事そのもの」を否定したいわけではありません。
ただ、
“知らないお客様が不安につけ込まれる”
そんな状況は減ってほしいと思っています。
「人を下げて仕事を取っている」と言われたこともあります
以前、「オーバーホールという言葉に騙されないで」
という内容を発信した際、
「人を下げて仕事を取るのはどうなのか」
という声をいただいたことがあります。
その意見も理解できます。
ですが私は、実際に困っている方をたくさん見てきました。
・高額な修理を勧められて悩んでいる方。
・買い替えしかないと思い込まされている方。
・「こんなもんです」と言われ諦めている方。
そういう方が、“調整”によって笑顔になる瞬間を、何度も見てきました。
だから私は、周りから何と言われようが、これからも伝え続けたいと思っています。
ピアノは、まだ良くなる可能性があるかもしれない。
もし不安を感じたら、すぐに決めてしまう前に、セカンドオピニオンとして一度別の調律師にも相談してみてください。
大切なピアノを守れるのは、正しい知識と、丁寧に向き合う調律師との出会いだと思っています。